ボルダリング中の手汗(ヌメり手)に悩む方は少なくありません。登る前にチョークをつけたはずなのに、スタートホールドを持つ時にすでにヌメッているという方もいるのではないでしょうか。17年間ボルダリングを続けている私もヌメり手で、これまでいろいろなチョークを試すなどの手汗対策をしてきました。
そこで今回は、経験も踏まえてボルダリング用チョークの役割、種類、チョークの選び方、さらに新しい手汗対策について詳しく紹介します。
山内 元貴
作業療法士/クライマー
作業療法士として15年の勤務、リハビリや介護などを担当。ボルダリングを17年以上続けており、スポーツクライミングに関する知識と経験を有する。高知県にある岩場の管理者として他のクライマーがケガをせずクライミングができるようにサポートしている。
冬の乾燥で手が滑る方・手汗で滑ってしまう方に
驚異的なグリップ力を体感しよう
圧倒的なグリップ力と持続力をもたらす滑り止め「チョークレス」が日本初上陸!
使い方はかんたん。独自の特許技術”モンスターパウダー”を手に擦り込むだけ!自分自身の手の感覚を残しつつ、グリップ力が圧倒的に向上するという優れモノです。
手の乾燥や手汗で手滑りが気になる人にこそオススメ。驚異的なグリップ力を発揮するので、今まで以上にパフォーマンスに集中できることでしょう。趣味やスポーツ時の頼もしい相棒になってくれるはず。
【特徴】
1.驚異的なグリップ力
2.圧倒的な持続力
3.手汗や水を弾く撥水性
4.待たずに使える即効性
5.米国特許取得済み
ボルダリングで手汗をかく理由
ボルダリングで手汗をかく主な理由は、2つ。暑さによる生理的発汗と、手に分布している交感神経の働きによる精神性発汗です。特にボルダリングは危険を感じるスポーツであることから、交感神経が活発になり、精神性発汗が促されます。登ることを想像するだけでも手汗が出る方もいます。
手のひらにはエクリン腺と呼ばれる汗腺があり、そこから99%の水分と1%のミネラルを含んだ汗が出てきます。手汗の正体はほぼ水分であるため、チョークを使い水分量を調整することで、手の滑りを防ぎます。
ボルダリング用チョークの役割
ボルダリング用チョークは、手の水分量を調整し、滑りにくくするものです。滑り止めとは少し違います。
ホールドを手で持ち、次の一手を出す際、手の水分量が多過ぎても少な過ぎても摩擦(フリクション)が減り、手が滑ります。そのため、チョークを使い、手を丁度よい水分量に調節していきます。自分の手汗の特徴や、その日の湿度などのコンディションによって、その日の自分に合ったチョーク選びや手汗対策をしていきましょう。
ボルダリング用チョークは主に4種類
ボルダリング用チョークは、形状で分けると大きく4つの種類になります。成分として主に水に溶けやすく吸水性が高い炭酸マグネシウムが用いられています。
液体チョーク
炭酸マグネシウムをアルコールで溶かして液状にしたものです。指紋にまで塗り込め、なじみやすく、携帯性の高いのが特徴。アルコールで手の水分も一緒に飛ばしてくれるため、手汗が多い方におすすめです。チョークバックが不要で、容器もコンパクトで携帯しやすく、粉の飛散が少ないため、服や手が汚れにくいのも嬉しいポイント。液体チョークを塗った後、粉末チョークをつけるのも効果的ですが、肌が弱い人や、乾燥肌の人は手が荒れる原因になることがあります。
また、アルコールが乾くのに少し時間がかかります。とはいえ、20秒間すれば乾燥するので、競技中でなければ問題ないでしょう。使用量に対してコストがやや割高で、開封してから使用期間が長くなると、粘度が高くなりチューブから出しにくくなることがあります。
液体チョークにはロジン(松ヤニ)入りもありますが、水に溶けにくいため、ホールドを汚したり、岩場の景観を損なうという理由から、使用する人は少なくなっています。
粉末チョーク
炭酸マグネシウムを粉状にしたタイプで、手につけやすく、量を調整しやすいのが特徴です。一度の使用量は少なめでコストパフォーマンスが良いのもメリット。
ただし、粉が飛散しやすく、服が汚れたり周囲を汚してしまうことがあります。屋内ジムでは飛散しやすいため使用を禁止しているところもあります。人体には無害ですが、喘息や花粉症、ハウスダストなどのアレルギーのある方は症状が出やすくなるため注意が必要です。
また、湿気を吸いやすいため、チョークバックに入れてしっかりと口を閉めておくなど管理が必要です。
固形(ブロック)チョーク
ブロックのように固まっているチョークで、手に直接擦りつけたり、手で潰して粉末状にして使います。固形なので粉が飛び散る心配も無く、携帯性に優れます。手のひら全体につけるには時間がかかるため、固形タイプのみで使用している人はあまりいません。
粉末と固形の良い点を混ぜたチャンキータイプのチョークもあります。粉末をつけたり、指先で潰しながらつけたりできるため、登るシーンに合わせて使い分けることができます。チャンキータイプは、岩場を登る方に愛用されており、ティックマークと呼ばれる目印として使用することもあります。
ボールチョーク
粉末チョークを巾着のような丸い袋に詰めたものです。チョークが飛散しにくいため、屋内ジムでの使用に優れています。粉末チョークは禁止でも、ボールチョークであれば問題ないジムが多いでしょう。
手のひらに均一にチョークがつけやすいのですが、使用量の調整がしにくいのが難点です。袋に詰め替えができるものなら、中の粉末チョークを詰め替えて、何度も使用できます。
チョークの選び方
チョークの種類による違いだけでなく、同じ種類でもメーカーによって使用感に違いがあります。店頭で試してから購入するのが一番ですが、ここでは選ぶポイントを解説します。
手へのなじみ方
粉が自分の手のひらやシワまでなじんでいるか確認しましょう。サラサラした質感のものや粗い質感のものなど、いろいろ試してみると、肌なじみの違いがわかります。なじんでいるか確認するポイントは、つけたチョークが長持ちするかどうかです。
使うシーンで選ぶ
使うシーンが屋内ジムか岩場なのか、気温が高いのか低いのか、湿度が高いのか低いのかを考慮します。
手汗をかきやすい人や、湿度の高い場所は液体チョークがおすすめです。アルコールが気化することで手のひらを冷やし、汗を飛ばしてくれます。下地として液体チョークをつけ、上から粉末チョークを重ねるとチョークが長持ちするので、汗を多くかく夏場におすすめです。
手が乾燥しやすい人や、湿度の低い場所で使用する場合は乾燥手用のチョークが良いでしょう。こちらも、手についたチョークが長持ちするように、液体チョークを下地としてつける人もいます。
オリジナルの工夫をしている商品を選ぶ
チョークの主成分に加えて精神的に落ち着く香りを配合しているものや、粉末のきめが細かいものなど、オリジナルの工夫がされているものもあります。自分に合うように、複数の商品を配合してオリジナルのチョークを作る人もいます。ぜひ試してみてください。
ボルダリングの手汗対策
手汗対策には、ボトックス注射のような医療的な方法もありますが、ここでは、手軽にできる4つの方法を紹介します。
食事療法
発汗は精神面の影響を受けやすい生理現象です。精神的な健康に対して、食事でアプローチする方法があります。精神に関連する主な栄養素としては、トリプトファン、ビタミンB1、葉酸があります。それぞれ、以下のような効果があるとされています。
精神に関連する主な栄養素 | 効果 |
---|---|
トリプトファン | 精神を安定させ、鎮痛作用を持つ |
ビタミンB1 | 情緒を安定させる |
葉酸 | 元気や気分に関わる脳の神経伝達物質の合成に関与する |
また、それぞれ、以下の食材に多く含まれます。
- トリプトファン
豆腐・納豆などの大豆製品、牛乳・チーズなどの乳製品、穀類 - ビタミンB1
豚肉などの赤身肉、全粒穀物、ナッツ、ほうれん草、カリフラワー、大豆など - 葉酸
ブロッコリー、枝豆、芽キャベツ、ほうれん草、ひらたけ、穀類など
毎日の食事に取り入れて、精神性発汗をコントロールしてみましょう。
生活習慣の改善
生活習慣の乱れは精神性発汗に影響を及ぼすとされています。栄養バランスの良い食事、質の良い睡眠、規則正しい生活リズム、ストレス解消で自律神経のバランスを整えていきましょう。生活習慣の改善で精神性発汗を抑えるだけでなく、体の回復によりパフォーマンスも向上しますよ。
登る前にしっかり手を洗う
手を洗うことで手汗と手についた汚れが落ち、乾かす時に手が冷え、汗がおさまります。プロのクライマーも、トライの前には手をしっかりと洗い、完全に乾かしてからチョークをつけることが多いです。なお、冬の岩場では、手を冷やし過ぎるとホールドをつかむ感覚がわからなくなるので注意しましょう。
下地のチョークを使う
粉末チョークやボールチョークを使っている方も、液体チョークを下地に使うと、さらにフリクション効果が長持ちします。なかなか合うチョークが見つからないという方は、一度試してみましょう。
クライマーにおすすめ!チョークレスとは
液体チョークのアルコールが苦手だという方も多いでしょう。そこで、チョークの下地としておすすめしたいのが「チョークレス」です。
チョークレスってどんなもの?
日本初上陸の滑り止めです。成分であるシリカが手汗滑りの原因である皮脂を吸収して驚異的なグリップ力を生み出します。同時に手の表面にコーティングも施してくれるので手の内・外側の汗を弾いてくれるのでグリップ力が長時間続きます。
粉末や液体チョークは数多くありますが、グリップ力自体はほとんど変わりません。しかし、チョークレスは疎水性により、汗や水に強いため効果が長時間持続します。また、チョークレスは シリカ100%で出来ており、人体に無害で、自然への悪影響も無く 、岩場でも安心して使用できます。
チョークレスの特徴は
- 手汗滑りの原因である皮脂を吸収し、水を弾く効果(疎水性)がある
- 透明な粉で白く汚れない
- 軽くて持ち運びしやすい(内容量8g/ボトル1本)
- 下地だけではなく、それだけでも驚異的な保持力を発揮する
と、制汗だけでなく、機能面でも非常に魅力的。
また、使い方も簡単で、乾いた手のひらに小さじ半分~1杯程度をかけ、両手でつぶすようになじませるだけ。下地で使うとチョークを長持ちさせることができ、人によってはチョークレスだけでも十分という方もいるでしょう。ぜひ一度使ってみてください。
手汗滑りからの解放
革新的な滑り止め | CHALKLESS
CHALKLESSの8グラム入りボトル。手軽に持ち運べるサイズで、場所を取りません。ボトル1本で約40回分の利用が可能。
商品情報
ブランド名:CHALKLESS
商品名:CHALKLESS ボトル (8g)
価格:単品 3,520円(税込)
まとめ
今回は、ボルダリング用チョークの役割や種類、選び方と、手汗対策について紹介しました。ボルダリングは、手汗対策をすることでパフォーマンスが大きく変わります。手汗が原因で不意に落ちてしまい、ケガにつながることもあります。この記事を参考に、手汗の悩みが解決できれば幸いです。目標課題の完登を目指して、ボルダリングを楽しみましょう!
<参考文献・URL>
※1:YAMA HACK「ボルダリングチョークはどれがいい?おすすめランキング25モデル&選び方【2024年】
https://yamahack.com/2857
※2:商品比較サービス★mybest「ボルダリングチョークのおすすめ人気ランキング17選【2024】」
https://my-best.com/4238
※3:CLIMBING-NET presented by ROCK&SNOW「クライミング(ボルダリング)用チョークの基礎知識」
https://www.climbing-net.com/general/about-chalk/
※4:じゅん茨城皮フ科・形成外科「手汗がひどい原因はストレス?手汗を止める治療法について」
https://www.juncl.net/sweat-on-palms/
※5:Climbing GYM Sommelier「クライミングで手汗・足汗で悩んでいる方におすすめの商品」
https://climbing-gym-sommelier.com/ase-nayami