手汗で手が濡れてしまい、普段やスポーツをする時に支障が出てしまうとお悩みではありませんか?汗は体温をコントロールする重要な役割がありますが、人並み以上に手汗をかいてしまうのには原因があります。
この記事では手汗をたくさんかいてしまう原因に触れながら、自分で簡単にできる手汗の対策法から根本的な解消を目指せる病院での治療方法、日常生活での注意点と汗をかかない予防法も解説します。
この記事を読んで、自分に合った方法を見つけてみて今後の生活に役立ててみてください。
高山ゆり子
薬剤師/WEBライター
薬学部を卒業後、薬剤師として調剤薬局に勤務。現在は薬局勤務のかたわら、WEBライターとしても活動。医療・健康分野で執筆を通して正確な知識と情報を届ける。YMAA認証マーク取得。
手汗がひどくなる主な原因
自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つがバランスを取ることで生命を維持しています。多汗症は、発汗を促す交感神経の働きが活発になり過ぎることが原因で生じます。交感神経の働きが活発になる原因について解説します。
ストレスや緊張
ストレスや緊張が脳に伝わると交感神経の働きが活発になり、神経伝達物質のアセチルコリンがエクリン汗腺(全身のほとんどの部分にある汗腺)を刺激することにより発汗を促します。通常は、しばらくすると副交感神経の働きで緊張から開放され、汗は抑えられます。
このように、交感神経と副交感神経は切り替わりながらバランスを保っていますが、長期間ストレスにさらされると交感神経が活発に働き続け、必要以上の汗をかいてしまう原因となるのです。
ホルモンバランスの崩れ
ホルモンバランスと自律神経には深い関わりがあり、ホルモンバランスが崩れると自律神経のバランスも崩れてしまいます。ホルモンバランスの崩れによる発汗は「温熱性発汗」といい、上昇した体温を下げるための発汗です。
ホルモンバランスが崩れる原因には、加齢や睡眠不足、更年期障害などがあります。
生活習慣の乱れ
睡眠不足や食生活の乱れも、自律神経のバランスを崩すことにつながる手汗の原因の1つです。
睡眠不足は脳の緊張が続き、交感神経の働きが活発になります。逆に睡眠中は副交感神経の働きが活発になるため、手汗をかくことはほとんどありません。
また食生活の乱れも自律神経に大きな影響を与えます。バランスの良い食事を心がけることが大切です。
手汗を抑える対策法6選
簡単にできる手汗を抑える対策方法6選を紹介します。
1.タオルやボディシートでまず拭き取る
一番簡単にできる方法はタオルやボディシートで拭き取ることです。アルコールが入っているボディシートは清涼感があり、殺菌効果も期待できます。拭き取った後にハンディファンなどを使って乾かすとさらに効果的です。
効果は一時的なものですが、ハンドタオルやボディシートを持ち歩いておくと便利です。
2.手を洗う
手汗をかいた時に水で手を洗うと表面温度が下がり、一時的に汗を抑えることができます。手を洗った後もハンディファンなどで乾燥させるとより良いでしょう。ただし、この方法も一時的なものです。
3.制汗剤を使う
ドラッグストアやコンビニで買える制汗剤も手汗を抑えるのに効果的です。市販の制汗剤に含まれるクロルヒドロキシアルミニウムは汗腺を塞いで手汗を抑えるため、タオルで拭き取ったり手を洗ったりするより効果が持続します。
スプレータイプやロールオンタイプ、スティックタイプ、クリームタイプがあるので、好みや用途に合わせて選ぶと良いでしょう。
4.ベビーパウダーを使う
ベビーパウダーに含まれるタルクやコーンスターチには汗を吸収したり、汗を吸い上げる効果があります。また、汗腺を塞いで汗を抑えるクロルヒドロキシアルミニウムを配合したものや、毛穴や汗腺を引き締めて汗を抑える酸化亜鉛を配合したものもあり、効率よく手汗を抑えることができます。
ドラッグストアで手軽に購入できるので、外出先でも簡単に手に入り便利です。
5.手汗に効くツボ押し
手汗はツボを押して抑えることができます。道具がいらないので覚えておくと便利です。汗を抑えるツボを3つ紹介します。
- 労宮(ろうきゅう)
手のひらにあり、手の指を曲げた時、中指の先が当たる部分。交感神経を鎮める効果があり、汗を抑えます。 - 合谷(ごうこく)
手の甲の親指と人差し指のあいだのくぼんだ部分精神的なストレスを和らげ、熱をコントロールし発汗を抑える。 - 陰げき(いんげき)
手首内側のシワの小指側からすこし上。体の熱を冷まして汗を抑える。
ツボの名前 | 場所 | 効果 |
---|---|---|
労宮 | 指を曲げた時に中指の先が当たる部分。手のひら。 | 交感神経を鎮めて汗を抑える |
合谷 | 親指と人差し指の間にあるくぼみ部分。手の甲。 | 精神的なストレスを和らげて熱をコントロールして汗を抑える |
陰げき | 手首内側の小指側からすこし上。 | 体の熱を冷まして汗を抑える |
6.ミョウバン水を塗る
ミョウバンには収れん作用があり、塗ると汗腺が閉じて汗を抑えます。ミョウバンは食品添加物なので肌にも安心して使える成分です。ミョウバン水を作って持ち歩くのがおすすめです。焼きミョウバンはスーパーやドラッグストアで買うことができます。
ミョウバン水の作り方を紹介します。
【用意するもの】
- 焼きミョウバン‥‥5g
- 水‥‥150ml
- ペットボトルなど蓋のできる容器
【作り方】
- 容器に焼きミョウバンと水を入れ、蓋をして良く振る。
- 一晩から3日程度、日の当たらない場所で寝かせる。
- 液が透明になったらでき上がり。
- 使用時は10倍に薄めて。
ミョウバン水の日持ちは冷蔵庫で約1ヶ月です。薄めた液は1週間程で使い切るようにしましょう。
手汗滑りからの解放
革新的な滑り止め | CHALKLESS
CHALKLESSの8グラム入りボトル。手軽に持ち運べるサイズで、場所を取りません。ボトル1本で約40回分の利用が可能。
商品情報
ブランド名:CHALKLESS
商品名:CHALKLESS ボトル (8g)
価格:単品 3,520円(税込)
日常生活でできる手汗の予防法
ここまで手汗と交感神経の関係について解説してきましたが、自律神経を整えれば手汗を予防できる可能性があります。すぐにできる手汗の予防法には以下のようなものがあります。
ストレスのケア
ストレスや緊張などで交感神経が活発な時間が続くと自律神経のバランスが崩れ、手汗の原因となってしまいます。ストレス解消法を見つけておき、日頃からストレスケアをすると良いでしょう。
食生活の見直し
自律神経のバランスを整えるためには、脳内のセロトニンを増やす食事が効果的です。
セロトニンはトリプトファンを原料に合成されます。トリプトファンは食品からしか摂れない必須アミノ酸です。バランスの取れた食事を基本として、セロトニンを効率よく合成するために以下の栄養素を含む食品を意識的に取り入れることをおすすめします。
- トリプトファン(セロトニンの原料)
- ビタミンB群(セロトニンを合成する時に必要)
- 穀物(セロトニンを合成する時に必要)
睡眠や規則正しい生活
良質な睡眠や規則正しい生活も、自律神経のバランスを整えるのに欠かせません。
実は良質な睡眠は日中のセロトニンの分泌量と深い関係があります。日中にセロトニンが十分に分泌されれば、睡眠の質を高めるメラトニンも十分に分泌されるのです。
食事からセロトニンの原料となる栄養素をしっかり摂って睡眠の質を上げれば、日中の活動量を増やすことができる好循環が生まれます。これは運動のパフォーマンスを上げるのにも好影響でしょう。
刺激物やアルコールも控える
刺激物やアルコールは味覚性発汗を促します。味覚性発汗は香辛料や酸味の刺激で起こる発汗です。この発汗は反射的なものなので、食べ終われば汗が引くという特徴があります。しかし刺激物がストレスの原因になることもあるので、避けるのが望ましいでしょう。
ひどい手汗は手掌多汗症かも?根本解消するには病院で治療が必要
熱いわけでもなく運動もしていないのに手のひらにだけたくさん汗をかくのは、手掌多汗症という病気かもしれません。
手掌多汗症は、手のひらに多く汗をかき日常生活に支障をきたす疾患です。緊張をしたりストレスを感じたりした時、特に多くの汗が出るという特徴があります。なぜ手だけにたくさん汗をかくのかメカニズムはわかっていませんが、汗の分泌を促す交感神経が関わっていると考えられています。
上記で紹介した手汗を抑える対策法や予防法はいずれも一時的な効果しかなく、根本的に解消するものではありません。手汗を根本的に治療するためには、病院での治療や医療医薬品の使用を検討するのが良いでしょう。
病院で受けられる手掌多汗症の治療は、外用薬や内服薬、イオントフォレーシス、ボトックス注射などがあります。病院での根本治療について、またご自身の手汗レベルを知りたい人は、こちらの記事もチェックしてみてください。
まとめ
この記事では手汗で悩む方に向けて、手汗を抑える方法を紹介しました。
手汗を自分で抑えるには制汗剤やベビーパウダー、ミョウバン水を使う方法があります。発汗を抑えるツボ押しは道具が無くてもできるので、ぜひ覚えておいてください。
発汗と自律神経には深い関わりがあり、栄養や睡眠などの生活習慣を整えることは自律神経のバランスを整えて手汗をコントロールするために役立ちます。交感神経が活発な時間が長くなり過ぎないよう、ストレスケアや食生活の見直しも行うと効果的です。
それでも手汗がひどく生活に支障がある場合や根本的に治療に取り組みたい場合は、病院を受診して相談してみましょう。